コラム

MA導入前に検討して欲しいたった1つのこと

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マーケティングオートメーション(MA)の導入を検討中または検討開始予定の企業様に「良いツールある?」と質問を頂くことがあります。

もしくは「MAの導入を検討してるので手伝って」と依頼を頂くこともあります。

そんな時、お願いすることが1つあります。

MA導入前に検討して欲しいたった1つのこと

とてもシンプルです。

「MAを導入して実現したいマーケティング施策を3つ具体的に検討してみて下さい」

以下でこのお願いの意図をご説明します。

何故、施策を「具体的に」検討して欲しいのか?

施策を「具体的に」検討して欲しい理由は、ただただ「成果を出す」ことにフォーカスして頂き「MA導入後の失敗」を防ぐためです。

「成果を出す」ことにフォーカスした場合、重要なことはマーケティングオートメーション(MA)と呼ばれるツールの機能ではなく、このツールを活用して実現する施策です。

ツールへの機能要件は満たしているにも関わらず施策の実装フェーズ・運用フェーズで失敗するケースの主な原因は、MAで実現したい施策が具体化し切れておらず、必要なタスク・工数・コストの見積もりが甘くなっているためです。

このような「導入後の失敗」を防ぐために「施策を具体化する」ことをお願いしています。

施策を具体化する際の条件

施策を具体的に検討する際の条件があります。

それは、
・その施策は実現可能か?
・その施策を運用し続けられるか?
という視点で実現性継続性に留意して下さい。

その施策は実現可能か?

「実現可能か?」の確認項目は主に
・データ(必要なデータが存在するか、取得可能か、MAにデータ連携可能か)
・訴求コンテンツ(訴求コンテンツは存在するか、制作可能か)
の2点です。

その施策を運用し続けられるか?

「運用し続けられるか?」の確認項目は主に
・コンテンツのメンテナンス
についてです。

どこまで検討するのか?

「施策を具体的に検討して下さい」と言うのは簡単ですが、特にMA導入経験がない場合、どこまで検討すれば「具体的」なのか?という勘所がなく行き詰ってしまいます。

そこで、ここからは「実現性・継続性に留意しながら施策を具体的に検討する」イメージをご紹介します。

施策を具体化するとは?

MAを活用した施策を具体的に検討するための項目は、当然ながらケースバイケースですが、お願いしている代表的な3項目をご紹介します。

・ターゲットをデータ項目まで落とし込む
・除外条件をデータ項目まで落とし込む
・コンテンツを構成レベルまで落とし込む

ターゲットをデータ項目まで落とし込む

例えば「WEBサイトやメールでの接触頻度が直近で高く、見込度の高いユーザ」を施策対象者と考えたとします。

ですが、実装フェーズに入れば、MAのDBに格納されているデータから条件抽出によって施策対象者(ターゲット)を設定する必要があります。

この例では、「どのWEBサイト?どのページ?」「どのメール?」「直近って何日?何週間?」「接触頻度が高いって何回?」「スコアリングのウェイトは?」「見込度は何段階に分類?」「高見込度ユーザのスコアはいくつ以上?」等を具体化しなければ、設定が出来ません。

これは「定義」と「データ取得可否」の2つの問題が内包されています。

「どのページを見たら見込度が高いと判断するか?」は定義の問題で、ただし「そのデータを取得可能か?」という観点はデータ取得可否の問題です。

*この例の「データ取得可否」が問題になるのは、主に行動ログ取得用のJavascriptを設定可能か?1st party cookieで取得可能か?3rd party cookieがセキュリティポリシーに抵触しないか?等です

主にデータの観点からの実現性を確認することになります。

除外条件をデータ項目まで落とし込む

「ターゲット」と表裏一体ですが「除外条件」は見落とされがちです。

ターゲットは施策の要ですのでしっかり詰まっていても「このユーザ/顧客は施策対象者から外す」という除外条件が全く検討されていない場合があります。

例えば、ECサイトで会員登録後の初回購入を促すプロモーションシナリオを検討した場合、「既に初回購入を行った会員は対象外にしたい」とすると、購入完了のデータが必要です。

単純な例ではありますが、実際には、この購入完了のデータをcookieベースのアクセスログで管理するのか、基幹系の販売管理DBの実績データで管理するのかを決める必要があります。

実績データを基にする場合、基幹系DBからMAのDBへのデータ更新頻度やスキームによってタイムラグが発生し、初回購入していても施策対象となってしまう場合も考えられます。この場合は、この事態を許容するのか、しないのか、という判断が必要になります。

最終的には割り切りの問題なのですが、主にデータの観点からの実現性を確認することになります。

コンテンツを構成レベルまで落とし込む

MAを使った施策は基本的にトリガーベースで自動実行しており、単発のスポット施策ではないため、施策ターゲットを決めるとある程度、アプローチ方針(どんな訴求で施策対象者に行って欲しいアクション・状態)が浮かびます。

ただアプローチ方針を具体的にコンテンツに落とし込んでいくと、
・適切なコンテンツが存在しない
・適切なコンテンツを用意できない
・コンプライアンス上、強い表現が出来ず、訴求力が弱い
などの課題に直面することが多々あります。

例えば、証券会社やFX会社等の金融機関では、主に金融商品の売買毎に手数料を得るビジネスモデルのため、何らかの金融商品を売却した後は、その売却資金を元手に新規に購入してもらう絶好のチャンスです。

ですが「日経平均は上がる!」「ドル買いが儲かる!」などと直接的に訴求するわけにもいかず、新たに投資のポジションを取ってもらうための需要喚起に必要なコンテンツは、コンプライアンスの観点からもなかなか用意出来ないことがあります。

また、B2Bの場合、資料ダウンロードを行ってもらった後に何を訴求すればお問い合わせに繋がるのか、検討を重ねても実はありきたりなコンテンツしか用意出来ない場合もあります。

こうして訴求コンテンツの観点からの実現性を確認することになります。

最も見落とされるのがコンテンツのメンテナンス

ここまでは、施策を具体化する際に必要な「施策の実現性」に関して
・データ(必要なデータが存在するか、取得可能か、MAにデータ連携可能か)
・訴求コンテンツ(訴求コンテンツは存在するか、制作可能か)
の視点について例をご紹介しました。

ですが、最も見落とされるのが「施策の継続性」であり、つまり「コンテンツのメンテナンス」です。

最も分かりやすい例では、キャンペーンを訴求する場合、キャンペーン期間に応じてコンテンツのメンテナンス(HTMLメールの場合、HTMLメールのファイル修正、MAでのメール原稿の再設定、テスト配信など)が必要です。

商品の最新機能を訴求する場合なら、最新情報に変更が発生する都度、コンテンツのメンテナンスが必要になります。その他にも、料金変更・商品名変更・ロゴ変更なども細々と発生します。

「顧客育成」や「顧客維持」という観点では、お役立ち情報など「読み物コンテンツ」が企画される事が多くありますが、季節性や時事性を重視すると定期的に見直しが発生します。

また、同じコンテンツばかり訴求するわけにはいかず、定期的に見直し・新規作成が必要になります。(季節性や時事性などとは異なり、コンテンツの中身そのものに見直す必然性がないため、このパターンは非常に難題です)

このコンテンツのメンテナンスは、施策数・セグメント数が増えれば増えるほど、工数が増していきます。

単発のスポット施策ではなく、MAを使った施策は基本的にトリガーベースで自動実行しているため、施策を止めない限り適切な状態にメンテナンスし続けなければなりません。

初期の施策に関しては外注してコンテンツをしっかり揃えたものの、その後の運用フェーズで予算を取っていないため、コンテンツが時代遅れになったり、繰り返し訴求されたり、最新情報と齟齬があったりする状態に陥る、という悪いパターンも見られます。

具体化することで見えてくるもの

上述の粒度で検討することは「導入前の検討フェーズでは細か過ぎる」というお話も出ますので「3つ」と限定しています。

「これは効果があるはず!」と考える施策を3つ具体化するだけです。

この3つの施策が実現不可能・継続不可能な場合、そもそもMAを導入しても成果を得られるのか怪しくはないでしょうか?

つまり、具体化することで見えてくるものは「MAツールの導入を検討すべきか否か」という、実は最初の課題であり、そして、MAを導入した後の運用体制・コストでもあります。

マーケティングオートメーション(MA)の活用は、導入よりも運用の方が想像以上に重い事も多いため、ツールの機能や先進性に囚われず、成果を出すための施策ありきでMA導入を検討することが重要です。

著者プロフィール
大室 州
株式会社Finsight 代表取締役
MA、アドテク、アクセス解析など、マーケティングテクノロジーとデータの活用を軸に事業企画やコンサルティング業務に従事し、2016年10月に株式会社Finsightを設立。

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